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踊る1401便

星間旅行は今日も続く

真夏の果実

生活 日常

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人間、誰にでもミスはある。
 
経験に裏付けられた事でも、ちょっとした気の緩みや過信により惨劇は起きるのだ。
 
 
その日、私は小学生数名を伴い子供会主催の海水浴に来ていた。
当時の私は中学生だったため、本来子供会の参加資格はない。
ただ酒盛りをしたい親達の代わりに、都合良く子守をさせられていたのだ。
 
通常なら断る所だが、思春期真っ盛りな私には断れない理由があった。
片思い中のK子(仮名)も来ることだ。
 
子守をしている良い所をみせたい‼︎
子供に優しいアピールをしたい‼︎
ともすれば良い関係になりたい‼︎グヘヘ。
 
私は純粋なゲス心に満ちていた。
 
 
海水浴場は季節が遅かったこともあり、人出はまばらだった。
何にも縛られず、自由を象徴する海原。
 
小学生たちは海でハシャギ、私とK子はそれを優しく見守る。
たまに顔が合うと微笑んでくれるのがたまらなく嬉しい。
 
最高のシチュエーション。
私の段取りは、この後起こるであろうロマンスに向け順調に滑り出していた。
 
 
海で遊び始めてからしばらくした後、体内で有事が発生する。
股間の校門付近から下校を試みる生徒がいたのだ。
 
私は経験則から、校門付近の検査にて下校承認と否認の仕分けが出来る。
いつものことだと、私は過信していた。
 
最初の生徒は無害と判断したため、承認し下校させた。
次の生徒も同様の判断を下す。
 
しかし、その次の生徒が下校した時、違和感が校門付近から伝わるのが分かった。
 
私は信じられない気持ちを抑え、恐る恐る校門付近を確認する。
だが不安は的中。
居残りを命じたハズの生徒の不正下校が、そこにはあった。
 
 
男性用の海パンは、諸々を固定するため内部に「サポーター」なる物が付いている。
先程不正下校した生徒は、この純白なサポーターを汚す所業まで行っていた。
 
 
サー…っと血の気が引いていく。
絶対にバレてはならない。今日のメンツはマズイ。
 
小学生の拡散力はハンパ無い。そもそも声が超デカイ。
100%K子にも伝わる。誰にも言わないでね、と約束しても無駄だ。
誰にも言わないでね。の言葉ごと伝わるのを知っている。 
 
そして、きっとあだ名は「ウンコマン」だ。
どうせならもっと捻ったセンスある物が良いが、ヤツらに期待はできない。
 
さすがに中学生になってからの「ウンコマン」はキツイ。マジでキツイ。
私のメンタルは完全に追い込まれていた。
 
 
私は人気の無い所に隠れ、海パンを洗う事にした。
更衣室には行けない。道中、臭いが漏れる可能性があるからだ。
何よりK子に見られ不審に思われるのが怖い。
 
岩肌に隠れ海パンを脱ぎ、ひっそりと処理を済ませようとしていた所、人の気配がした。
 
一誰かが来る
 
私君?
 
呼びかける声は間違いなくK子のものだった。
そう気付いた途端、私は「この汚された海パンを隠さなければ」という事で頭がいっぱいになっていた。
 
どうしたの?
と背後で声が聞こえた瞬間
 
「ビひゃぁぁーーー‼︎」
 

私は声とも成らない声を上げ、シミ付き海パンを反射的に海原に放り投げていた。

誰に縛られる事も無く、自由な海原へと漂う海パン。
 
シミ付き海パンはK子に見られず、事無きを得た。
何とも清々しく解放的な気分だ。
そう、ホッと胸を撫で下ろす。
 
 
と思ったけど、人生最高の大惨事が既に始まっているのに気が付くのはこの直後。
 
 
その後、小学生による「ウンコマン」のあだ名は避けたが、きっちり「フルチンマン」になった。