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踊る1401便

星間旅行は今日も続く

当る占い屋

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私は占いが好きだ。
悩み相談としてよりも好奇心としての方が強い。
そのため「好きだが疑っている」が正確なところだ。
 
なぜ、人は自分の未来が気になるのか。
なぜ、他人の意見で未来を決めるのか。
なぜ、こんなにも惹かれるのか。
 
そして心の根っこでは思うのだ。
本当に当るのか?
 
朝の占いコーナーは挑戦的な目で見ている。
1億人の運勢をたった4種類の血液型や12種類の星座で占うという。
普通に考えても少々横暴すぎやしないか。
本当に当たるのか?
 
占いと一口にしても、その種類は膨大だ。
手相 タロット 占星術 数秘術 姓名判断 ……
それらで違う結果が出るのだから益々信頼ならない。
米や珈琲豆を投げて占う事もある。
見た目は完全にギャグだが、私の知り得ない、裏付ける何かがあるのだろう。
しかし疑念は残る。本当に当たるのか?
 
 
その日、私は仕事で横浜中華街に来ていた。美麗に飾られた門をくぐると、ガラリと雰囲気が変わる。中華料理の匂いが優しく漂い、聞き慣れぬ言葉が飛び交っていた。
中華街には沢山の店舗があるがカテゴリーは少ない。大きく分けると3種類になる。
土産店、飲食店はさる事ながら、目に付くのは占い店。そこのビルには占い店。その角曲がれば占い店だ。
 
各占い店は凌ぎを削り合い、特徴を出そうと看板に様々な売り文句が書かれている。
「No1占いのお店」 「信頼No1」 「価格No1」 「的中No1」
どこもこの様な感じでドングリの背比べだ。自分のお店が他よりも繁盛する方法を占ってはいかがだろうか。
 
私は占いが好きだが、本格的な占い店に入った事は無かった。疑いの気持ちが強くお金を払う気には到底なれなかったからだ。
しかし数ある占い店を見ていると、好奇心から占ってみたい感情が湧いてきた。当たっても当たらなくても関係無い。当たらなければ二度と占わなければ良いのだ。人生は経験で出来ている。
 
そうと決まれば即実行だ。しかし今は勤務合間の休憩中。時間は無い。早急に店を決め、勤務に戻らなければ。
 
店を探し始めると、若いお姉さんが客引をしている店があった。
看板には「売上No1のお店」と書かれている。ここでも良いかと考えたが、折角なので他とも比較がしたい。優しい手招きを振りほどき、次に向かった。
 
しかし、その他の店も状況は同じ様だ。客引がお姉さんか、おばさんか、おじさんかの違いしかない。価格も示し合わせた様にどっこいだ。
 
いくつもの店と売り文句を見ていたら完全に迷ってしまった。選べない。インターネットで調べても決め手に欠ける。これは困った。時間が無い中で、焦りの感情が拍車をかける。本当にマズイ。
 
そのまま街中をウロウロし、気がついたら最初に見たお姉さんが優しく手招きするお店の前にいた。手招きに誘われ、私はフラフラと店内へと導かれた。
 
簡素な造りの店内に入ると「世界に一つだけの花」がBGMで流れていた。
売上No1とは一体何なのか。
椅子に座り年季の入ったお姉さんと対面する。
私は慣れない状況のせいか少し緊張をしていた。
 
もし、本当に当たってしまったら…?
もし、良くない事を言われてしまったら…?
 
手に汗が滲み、高鳴る心臓の音が聞こえる。
 
 
私の心情を察してか、年季の入ったお姉さんが優しく話しかけてくる。
 
一とてもお悩みの様ですね。
 
「分かりますか」
 
一仕事ですからね。顔を見れば分かります。何でも聞いて下さい。
 

私は意を決して尋ねた。


「私はどのお店で占えばいいでしょうか」